インタビュー

江戸手描き鯉のぼり「秀光人形工房」にお邪魔しました35年ぶりに江戸手描き鯉のぼりが復活

今年の春、秀光人形工房さんから、「手描きの鯉のぼりを復活した」ご連絡をいただきました。早速、秀光さんにお邪魔してお話をうかがっていると、案内をしてくださった金田さんが実際に描いているとのこと。これは是非製作の様子を見たいとお願いしたところ快諾していただきました。ところが製作は販売のオフシーズンになるということで、天候のことなど考えながら、先日、千葉県市川市にある工房にお邪魔をしました。

秀光では、初代が手描き染めを得意としていましたが、二代目は捺染(なっせん)がこれからの主流と判断。※捺染については秀光のホームページに詳しく紹介されています。
捺染にすることで大量生産が可能になり、低価格なものなど種類も豊富になりました。
三代目は「手描きの技術を後世に伝えたい」と35年ぶりに手描き染めを復活することを決意されました。

それでは実際の製作の様子を見てみます。
取材の都合上、効率よく見せていただいたので、数体の鯉のぼりを撮影しています。

まず、木綿の布を木枠に張り合わせます。実はこの行程が一番難しいとか、力任せに張り付けると外した時に布が均一にならないそうです。(写真は描き終えたもの)

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木枠に張り付けた布に当て書き(鯉の輪郭を描く)。
手描きに使う染料は、糊(ボンドのようなもの)に染料を混ぜたもの、気温や湿度で、調合の具合は調節します。

鱗部分は回し書き、初代は自作のコンパスを使用したそうです。
筆、刷毛は使用後丁寧に洗わないと固まってしまいます。作業が終わるたびに洗います。

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手描きなので失敗は許されません。取材する側も多少緊張しながらの見学に。

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大胆な筆遣いで尾びれが描かれていきます。

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鱗に筆を入れます。ひとつひとつ、均一に描きます。

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一枚の布に、鯉の胴体、ひれなどが描きます。江戸の鯉のぼりの特徴は、裁断する際に腹を切らないこと、鰻と同じなのですね。

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一色ずつ描き、その上に次の色を重ねていく。

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描き終えると木枠から外し、裁断、そして縫製。
捺染の場合は10枚ほどを重ねて裁断したそうですが、手描きは1枚できるたびに裁断をします。

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ひれの部分を縫製、胴体に縫い付けます。尾びれは、風にあたってほつれやすいので、当て布をして、斜め方向にバイアスを入れて補強します。

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縫製はベテランスタッフに。

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三代目金龍の文字が。

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縫製が完了。

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縫製が完成すると、撥水処理をして天日で干します。この行程を繰り返して完成。

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今回は忙しい中、製作工程を拝見させていただきました。ありがとうございました。
鯉のぼりの泳ぐ姿は、またシーズンになってからご紹介いたします。

お問い合わせ
秀光人形工房 立川本店
東京都立川市砂川町2-41-8
042-534-6300