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「空の都たちかわ」
歌に昔を偲び見る~立川小唄から~

  • ジャンル 立川の歴史

2012年2月。
立川新生活の会で立川小唄を解説すると聞いたので行ってみた。

今につながる立川も、今は見られない立川も、いずれも同じ立川の顔。
(立川小唄の解説は豊泉喜一さん)

立川新生活の会 立って説明しているのが豊泉喜一さん

「立川小唄」

昭和5年発表。
作詞 大関五郎 作曲 田中豊明 作曲 町田嘉章 振付 花柳徳之助


忍び泣くよな春雨晴れて 吹くよそよ風 武蔵野に
朝日うららかスポーツ日和 空の都よ、立川よ


東京ばかりか浅川青梅 五日市から一走り
汽車だ電車だ川崎から*も 空の都よ、立川よ
*川崎からも=昭和5年に現在の南武線が開通し南口ができた

昭和5年の立川駅南口

3 
飛行五連隊ありゃ格納庫 ほんに技術部さしむかい*
ここは日本の飛行機の名所 空の都よ、立川よ
*現在のモノレールの辺りに格納庫があった。
その向かい側に技術部があり、まさに差し向かいだったことをいう。

昭和初期の北口方面
現在のモノレール高松駅辺りに格納庫があり、その向かいに技術部の建物が建っている


鳩か蜻蛉かあのサルムソン*
飛ぶよアプロ機ドルニエー機
シャンがすましてフォッカー*に乗った
空の都よ、立川よ
*サルムソンは2枚羽。赤とんぼと呼ばれた。
*フォッカーは羽根が1枚の民間航空機。立川ー大阪間を飛んだ。

5
可愛い兵隊さんだ明るい朝だ ほんに強そうな重爆*
ろゝんろゝんとプロペラ廻る 空の都よ、立川よ
*重爆は重爆撃機

乙式1型偵察機サルムソン
立川はサルムソンからと言われていた

6
飛行学校かみくにの人か 何故かお話してみたい
春の日永の日が暮れかかる 空の都よ、立川よ


月に浮かれた夜鴉じゃなし 赤い灯りが尾を引いて
夜間飛行はありゃサルムソン 空の都よ、立川よ

8
春はよいもの狐の思案 昔恋しい ふじ塚で
今夜化けよか明日にしよか 空の都よ、立川よ

飛行場内にあった飛行学校

9
雨よ降るなと桜が咲いた 嬉し約束 ほごになる
明日は普濟寺あの花祭り 空の都よ、立川よ

10
いつか浮名の流れて咲いて 人目忍ぶよ 蛇の目傘
好きじゃとらないこの左褄 空の都よ、立川よ

11
朧月夜のチラゝゝ灯り 芝地通れば、なつかしや
恋の花咲くキネマが見える 空の都よ、立川よ

12
五月節句の仲町通り 若い憲兵さん*の、うしろかげ
誰が見ていた懐かしがった 空の都よ、立川よ
*緑川沿いに憲兵隊があった。

13
心気くさけりゃ貝がら坂*へ 行こか太古(むかし)の貝堀りに
さつき花咲く日曜じゃないか 空の都よ、立川よ
*立川には貝殻坂が2つある。至誠学園近くと山中坂。ここでは山中坂のこと。

14
渡れ日野橋お茶屋が見える 浮いて静かな、屋形船*
眺め懐かし秩父や御嶽 空の都よ、立川よ
*丸芝というお茶屋さんがあって都内からもお客さんが来て屋形船が出ていた。

15
わたしゃ夏帯さらりとしめた 今夜嬉しい、蛍篭
さげて行きましょ立川田圃 空の都よ、立川よ

16
揺れる蘆間によしきり鳴いて 眺めはるかな、富士の山
今日は根川で鮒釣りましょか 空の都よ、立川よ

17
誰が忘れたきれいな帯を しかも田圃の、真ん中に
なんの中澤月夜の川だ 空の都よ、立川よ

18
神輿もみゝゝ若衆が渡りや ふけて静かな夏祭り
可愛いあの子の縁結び橋 空の都よ、立川よ

昭和5年の立川全図 田宮測量社

19
水の流れの玉川砂利よ 鮎のどぶ釣り、あんま釣り
釣れりゃ瀬釣りのさて面白や 空の都よ、立川よ

20
船頭裸だ鮎漁の客だ いまは鵜飼*の、屋形船
浴衣がけだよおしゃれな女子 空の都よ、立川よ
*立川での鵜飼は船の上からではなく、漁師が川に入って鵜を操った。

21
二十日宵闇河原の花は 河原なでしこ、月見草
離ればなれの中州にひらく 空の都よ、立川よ

22
香りなつかしメロンの出来る 農事試験場だ、雌鳥がなく
女心の初恋をする 空の都よ、立川よ

23
子安農園養豚場*の 豚は種豚、おしゃれ豚
夜間飛行じゃびっくりするな 空の都よ、立川よ
*現在の昭和記念公園西立川口近く。昭和16年頃まで営業していた。

諏訪神社の獅子舞

24
日本晴れだよ法螺貝が鳴る うちの太郎*は、棒使い*
笛だ太鼓だ獅子舞が来る 空の都よ、立川よ
*太郎はせがれ、息子のこと。
*お諏訪さまの獅子舞のこと。

25
見ろよ舞込み雄獅子と雌獅子
「末にからまる蔦の葉も」*
歌は良いもの獅子舞歌は 空の都よ、立川よ
*「」の中は獅子舞に伝わる歌の文句。

26
五十六十じゃ未だ年や若い 太鼓叩いて、秋祭り
可愛がられるあの諏訪さまに 空の都よ、立川よ

27
雪の大山丹沢秩父 晴れりゃ輝く、冬の富士
ここは普濟寺咲く寒椿 空の都よ、立川よ


暮れりゃほのかになまめくあかり
東立川*、恋の街
漏れる爪弾き待ち人かけて 空の都よ、立川よ
*立川駅と西国立駅の間にかつてあった駅の名前。
*この28番にあたる歌詞は公募したと言われている。

はやし言葉
 わたしゃ飛行機風まかせ お前のでようで宙返り オヤクルリトセー ションガイナ

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